【高齢者の脱水症状に注意】その原因や対策とは?
高齢者は脱水になりやすく、脱水になると命にかかわるリスクも高まります。
今回は高齢者の脱水について書いていきますね。
○高齢者が脱水になりやすい理由
一般成人は、1日に2.5リットルの水分が必要といわれています。
しかし、加齢によって体の代謝機能が低下すると、体内に蓄えられる水分の量が減ってしまい、
若い頃に比べると約10%減り、約50%だといわれています。
また、高齢になると喉の渇きを感じにくくなり、自分から水分を摂ることが少なくなる傾向があります。
さらに、食欲が落ちて食事から摂れる水分量が減ったり、トイレが近くなるのを心配して自ら水分を控えたり、
水を飲んだときにむせるのが怖くて飲まなくなったりすることもあります。
これらの理由から、高齢者は脱水症状になりやすいと考えられます。
・筋肉量の減少:体液を最も多く含む筋肉が減ってきている
・嚥下障害・嚥下機能の低下:食べ物を飲み込むことが困難になり、水分を十分に摂取できない
・感覚機能の低下:のどの渇きを自覚する機能が低下してくる
・腎機能の低下:水分や電解質の再吸収や老廃物排出機能が低下して、排出に必要な水分が増える
・食事量の減少:食べ物からの水分・電解質摂取量が不足している
・極度に水分を控える:トイレに行く回数を減らしたいなどと考えている
・利尿剤の服用:高血圧や腎臓病、心不全などの持病があり、利尿剤を服用している
○脱水症状に気づきにくい
複数の病気を抱えていることが多い高齢者は、持病の症状に隠れた脱水症状を見逃してしまう可能性があります。
また、脱水による嚥下機能の低下や尿量の減少のために、誤嚥性肺炎・尿路感染症などの感染症にかかりやすいのも高齢者の特徴です。
なお、認知症の方は自律神経機能の低下によって脱水を起こしやすいうえに、判断力低下のために脱水症状を自覚できないことがあります。
○脱水症状とは?
・血液検査データ
採血データによる脱水を示す所見
ヘマトクリット高値、ヘモグロビン、アルブミンが高値になっている
尿素窒素/クレアチニン比が25以上、
尿酸値7mg/dl以上など
・尿検査
最も簡単な方法は尿検査で、尿量、尿比重、尿糖(ケトン体)を見ることです。
脱水では尿量が少なく、尿比重が上がり、尿ケトン体が見られます。
・以下のような様子や症状がみられたら、脱水症状の可能性があります。
・皮膚がカサカサしている、あるいは皮膚の張りがない
・口の中や唇が渇いている
・食欲がない
・体温が高い
・脇の下が乾いている
・だるい.
○脱水を防ぐための工夫
・のどが渇く前に水分をとる
「のどが渇いた」と感じたら、すでに脱水が始まっているサインです。
のどが渇く前に水分をこまめに補いましょう。
一気に飲むのではなく、少しずつゆっくりと飲むことが大切です。
手近に飲み物を置いておき、喉が渇いていなくても定期的に水分を摂る習慣をつけましょう。
入浴中や眠っている間はとくに汗をかきやすいため、入浴の前後、夜寝る前、朝起きたときなどにも水分を補給しましょう。
・お食事やおやつからも水分をとる
飲み物だけで水分を補うのはなかなか難しいものです。
お食事には汁物をつけ、おやつには水分の多いゼリーやフルーツを選ぶと無理なく水分量を増やせます。
嚥下(飲み込み)が困難な場合は、飲み物に「とろみ調整食品」などでとろみをつけると飲みやすくなります。
無理に勧めるのではなく、好きな飲み物を飲むなどして、楽しみながら予防できる環境作りが大切です。
・適度な塩分(電解質)をとる
多量の汗をかいたときは、水分のほかに塩分(電解質)も失われています。
嘔吐や下痢がみられる場合も同様です。
脱水状態のときは水やお茶だけではなく、経口補水液などで適度な塩分もとりましょう。
ただし、心臓や腎臓の病気で治療を受けている人は、水分や塩分の摂り過ぎに注意が必要です。
高齢者脱水は暑い夏場だけ注意すればいいものではなく、一年中脱水に注意が必要です
発見が遅れれば死に至るケースもあります。
隠れ脱水のサインを見逃さないように!!
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