【経管栄養剤の種類一覧表】胃ろうのメリットとデメリットは?

経管栄養剤・経腸栄養剤・濃厚流動食の種類や特徴をまとめてみました!胃ろうとは?

胃ろうとは?メリットとデメリット

「胃ろう」とは、重度の認知症を患っていて自分で口から食事をとるのが難しい人や、嚥下障害で食べ物を飲みこもうとするとむせてしまい、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性が高い人などが、胃に穴をあけて直接胃から栄養補給をおこなう方法です。

胃に穴を開ける方法ではなく、鼻からチューブを胃まで挿入する方法もあります。

これを「経鼻胃管」といい、胃ろうと同様に胃に直接栄養を送り込むことができますが、人によっては呼吸がしづらかったり、鼻に異物感があったりするため、体に負担がかかることも事実です。

胃ろうは、なるべく体に負担をかけずに栄養補給をすることを目的としています。

メリット

胃ろうのメリットは、鼻からチューブを入れる経鼻経管で栄養補給するよりも利用者の痛みや体への負担が少ない点にあります。

食事介助にかかる時間や手間が少なくなるため、介護者側の負担も軽くなります。

また、嚥下障害による誤嚥性肺炎のリスクを軽減できると考えられています。

高齢者にとって肺炎は命にかかわる病気であるため、これは胃ろうの大きなメリットといえます。

デメリット

何らかの理由で免疫力が低下したときに、胃ろうの周辺の皮膚がただれたり、まれに注入した栄養剤の逆流を起こしたりすることがあります。

胃ろう専用の栄養剤や半年に一度のカテーテルの交換など、費用がかかる点もデメリットとして挙げられます。

認知症の人などは自分でカテーテルを抜いてしまうことがあるため注意が必要です。

一度カテーテルを抜くと、たった一晩で穴がふさがってしまうこともあり、その場合は再手術をすることになります。

また、人間の「尊厳」という観点から物議を醸していることも事実です。

経管栄養剤・経腸栄養剤の種類と特徴

経管栄養剤・経腸栄養剤は病態別で特殊なものもありますが、一般的な経管栄養剤は生命維持に必要な栄養素がバランスよく配合されています。

経腸栄養剤は1パック 300kcal400kcal500kcalのものが一般的で、利用者の必要栄養量・病態・消化吸収能などを考慮して、カロリーや投与回数を組み合わせて使用します。

窒素源(タンパク質)による分類

消化吸収能が保たれている場合は、半消化態栄養剤を第一選択とします。

クローン病や消化吸収能に障害がある場合は、消化態栄養剤や成分栄養剤が適応となります。

・半消化態栄養剤  タンパク質で構成

・消化態栄養剤   低分子ペプチドとアミノ酸で構成

・成分栄養剤    すべてアミノ酸で構成

  半消化態栄養剤 消化態栄養剤 成分栄養剤
栄養成分 窒素源 蛋白質 ポリペプチド アミノ酸 アミノ酸
ジペプジドおよびトリペプチド
糖質 テキストリンなど テキストリン テキストリン
脂質と LCTとMCT LCTとMCT LCTとMCT
脂質含有量 比較的多い 少ない きわめて少ない
他の栄養成分 不十分 不十分 不十分
繊維成分含有 水溶性・不溶性を添加したものも多い 無添加 無添加
製剤の性状 消化 多少必要 ほとんど不要 不要
吸収 必要 必要 必要
残渣 少ない きわめて少ない きわめて少ない
浸透圧 比較的低い 高い 高い
溶解性 比較的良好 良好 良好
粘稠性 やや高い やや高い 低い
味・香り 比較的良好 不良 不良
剤形 ほとんど液状製剤 液状製剤 粉末製剤
適応 制限あり 制限あり 広い
栄養チューブ Ф2~3mm(8Fr) Ф2~3mm(8Fr) Ф1~1.5mm(5Fr)
取扱い区分 医薬品・食品 医薬品・食品 医薬品

濃度による分類

 一般的に経腸栄養剤は「1kcal/ml」に調整されています。

 水分制限が必要な場合や投与量を控えたい場合は高濃度タイプを選択します。

 逆に水分量を増やしたい場合は低濃度タイプを選択できます。

・標準タイプ   1kcal/ml

・高濃度タイプ  1kcal/ml以上(~2.0kcal/ml)

・低濃度タイプ  1kcal/ml未満(~0.5kcal/ml)

●形状による分類

経腸栄養剤は物性で主に3タイプに分けられます。それぞれメリット・デメリットがあり、利用者の状態に合わせて選ぶ必要があります。

逆流や下痢の予防として半固形状が選択できます。

・液体状栄養剤・点滴タイプ

1日に必要な栄養素をバランスよく調整した液体流動食。

・とろみ状栄養剤

使用シーンを考慮してあらかじめ粘度をとろみ状に調整した流動食。

・半固形状栄養剤

使用シーンを考慮してあらかじめ粘度を半固形状に調整した流動食。

種類 液状 とろみ状 半固形状
投与方法 点滴タイプ 点滴タイプ・加圧バッグ 手絞り・加圧バッグ
投与時間 1時間~2時間 15分~30分 5分~10分
メリット

デメリット

時間がかかり利用者の拘束時間が長くなる。 液状と半固形の中間 投与時間は短いが手で絞るため拘束される。
介助者の負担が少ない。 加圧バッグの使用により作業量を軽減できる。
対象人数が多くても対応しやすい。 対象人数が多いと手が痛くなる。

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