【目の病気の原因と治療法・予防対策】 目の病気の種類と一覧表 【健康と病気】
目の病気の検査には、視力検査、視野検査、眼底検査、眼圧検査、隅角検査、細隙灯顕微鏡検査、蛍光眼底造影検査、ドライアイの検査などがあります。
目の病気には白内障、緑内障、糖尿病性網膜、老人性黄斑変性症、眼精疲労、ドライアイ、結膜炎などがあります。
白内障
白内障とは、目をカメラに例えた際のレンズ部分に該当する「水晶体」と呼ばれるタンパク質が変化して、濁りなどを生じる疾患を指します。
白内障の大部分は加齢による老人性白内障が多数を占めます。
白内障の症状
白内障には実に様々な自覚症状が起こります。
- 眼精疲労
- 霧視(むし)・羞明(しゅうめい)
視界が極端に悪くなり、霧の中に入ったようになったり、チカチカとした明かりを非常に眩しく感じるようになる。 - 視力低下
- 昼盲
明るいところで、極端に視野が狭くなり、視力も著しく低下する。 - 飛蚊症(ひぶんしょう)
視野の中に小さな虫が飛んでいるようにみえる。 - 単眼複視
白内障になっている目で物をみると二重、三重にものが見えるようになる。
などの症状が上げられます。
白内障が進行すると明暗程度の識別しかできず、ほとんどの物が見えなくなるほど病状は悪化します。
白内障の原因
白内障の原因としては、前述のとおりほとんどは加齢によるものです。
白内障の対策・予防策
白内障を予防するにあたって、現在有効な手段は存在しません。
白内障の治療法
白内障の治療法としては、外科的な手術による目の水晶体の交換です。
現在では人工的に作られた水晶体が存在しており、濁った水晶体を人工水晶体に入れ替える事で対応します。
近年は手術法が進化しており、短時間かつ確実に手術ができるようになっています。
緑内障
緑内障とは、眼球の内圧が高くなり、これに起因して網膜や視神経などを圧迫し、視野および視力に対して悪影響を与える疾患の一つです。
40歳以上の方が緑内障患者の多数を占めます。
緑内障の種類と症状
緑内障には、その隅角の広さにより次の二つに分類できます。また、その症状も異なります。
開放隅角緑内障
開放隅角緑内障とは、隅角は正常な広さですが、網目構造の孔が細くなる為に循環が悪くなります。
眼圧の高い状態が長期間にわたって続く事から病状は徐々に悪化します。
ほとんど症状は無症状のまま進行しますので、健康診断等での早期発見が重要になります。
閉塞隅角緑内障
閉塞隅角緑内障とは、虹彩と水晶体が密接した状態となることにより、隅角が狭くなり眼房水の循環が妨げられます。
主に女性に多いタイプの緑内障で、急性の眼圧上昇を繰り返す傾向があります。
症状としては、疲れと共に眼がかすんだり、街灯などを直視すると、明かりに虹がかかったようにみえるなどの症状が現れます。
また、大きな発作が起こると、激しい眼の痛み、充血、頭痛、嘔吐などを伴います。
この状態では、失明するリスクも非常に高くなりますので、緊急的な措置が必要となります。
緑内障の対策・予防策
緑内障は眼圧検査・視野検査・眼底検査が健康診断や人間ドックなどで行われるようになり、これらの検査を通じて緑内障早期発見が可能となりましたので、これらの検査を定期的に行うことが重要になります。
特に、閉塞隅角緑内障の場合失明を伴う危険性も高い病気ですから、日々から気をつけておくことが重要です。
緑内障の治療法
緑内障の治療法としては、眼圧を下げる為の点眼剤、内服薬などの対症療法が行われ、根治する為には、眼房水の循環を回復させる為のレーザーによる手術が行われます。
糖尿病性網膜症
糖尿病性網膜症とは、長期間に渡る糖尿病による血液の慢性的な高血糖を受けて身体におこる代表的な重篤疾患の一つです。
成人の失明原因の第1位を占めています。
糖尿病性網膜症の原因と症状
糖尿病性網膜症は、重傷度により以下の二つに分類することができます。
単純性網膜症
比較的経度な糖尿病性網膜症。良性網膜症とも呼ばれ失明の危険性は極めて低い状態です。
自覚症状はほとんど無いが、糖尿病の放置により確実に進行します。
眼底検査を行うと、網膜に小さな出血や白い斑点などが見られ、進行するとしみ状出血、部分的浮腫などが出現します。
増殖性網膜症
増殖性網膜症は、網膜内細小血管異常が大きく進行し、外科的手術が必要となる糖尿病性網膜症の一つです。
視力低下などの自覚症状はあまり無いことから、高度に進行してしままで、気づかずに手遅れとなるケースも見られます。
糖尿病性網膜症の対策・予防策
糖尿病性網膜症は糖尿病に起因する三大合併症の一つで、予防法としては糖尿病のコントロールを糖尿病と診断された初期段階から実施する事が重要になってきます。
定期的な眼科的検査が重要になります。
糖尿病性網膜症の治療法
糖尿病性網膜症の治療法として、高度に進行している場合、最悪失明の可能性があります。
ただし、適切な時期(進行度合いが低い時期)に網膜レーザー治療などを行うことで有効な手術は可能な病気です。
老人性黄斑変性症
老人性黄斑変性症とは、黄斑と呼ばれる目の解像力の集中している部位が加齢により変性し、視力が悪化する病気の一つです。特に文字などが読みづらくなる症状が代表的です。
老人性黄斑変性症の症状
老人性黄斑変性症の症状としては、急速な視力の低下(特に片目)、視野の中心部のボケ、ものが歪んで見えるなどの症状が現れます。
老人性黄斑変性症の原因
老人性黄斑変性症の原因は名前の通り加齢による網膜色素上皮とブルッフ膜に変化が生じる事により発症します。
また、脈絡膜の血管が色素上皮の下に入り込み網膜はく離や出血を起す場合もあります(老人性円板状黄斑症)。
老人性黄斑変性症の対策・予防策
老人性黄斑変性症は主に60~70代の男性高齢者に多い病気です。
老人性黄斑変性症の治療法
老人性黄斑変性症の治療法は特に存在しません。血管強化剤やビタミン剤の服用などが主な対症療法となります。
眼精疲労
眼精疲労とは、いわゆる疲れ目など目を酷使する事により異常反応が起こることを総じて指します。
眼精疲労は目に関する症状以外にも漠然とした全身症状を伴う場合もあります。
眼精疲労の症状
眼精疲労の症状としては、眼のかすみや痛み、疲れ眼、充血、涙の増加などの目に直接関連する症状の他、倦怠感や肩こり、めまいなどの全身的な症状を起す事もあります。
眼精疲労の原因
眼精疲労の原因は実に様々で、照明器具の不適切な利用、パソコン等の画面を長時間見続ける、風の強い場所での作業などが原因とされています。
この他、ストレスなどが原因の心因性の眼精疲労もあります。
眼精疲労は原因がハッキリしない為、的確な治療が難しいのが特徴です。
眼精疲労の対策・予防策
眼精疲労は自覚症状が明らかであっても検診などで眼に対する異常が証明されにくい病気でもあります。
眼精疲労の治療法
眼精疲労の治療としては、その原因がはっきりしにくい事から、まずは検査を行い、原因が特定された場合はその治療を行います。
その後生活環境や職場環境の見直しや休養などを通じて治療・回復を行います。
また、心因性(ストレス性)の眼精疲労が疑われる場合は、精神科での心理療法なども検討されます。
ドライアイ
ドライアイとは、涙の量が減少したり、その成分が変化することにより、眼球の表面が乾燥する症状を指します。
主な症状としては目の疲れやかすみ、視力低下などが上げられます。
近年になり患者数が急激に増加している現代病の一種で一般的なオフィス勤務者の場合約30%がドライアイの症状を持つといわれています。
ドライアイの症状
ドライアイの症状としては、目の痛み、目の乾き、目の疲れ、目が重くなる、視力低下などの症状が一般的です。
この他、ドライアイの症状とは異なりますが、ドライアイの患者は結膜炎を始めとした目の病気に罹りやすくなるといわれています。
ドライアイの原因
ドライアイの原因には諸説ありますが、近年患者数が増加している原因としてはパソコンやテレビなどのディスプレイを長時間見る機会が多くなった事や化学物質吸引など様々な原因が取り上げられています。
また、コンタクトレンズを使用している人は、ドライアイになりやすいという研究結果も発表されています。
ドライアイの対策・予防策
ドライアイの対策としては、意識的にまばたきの回数を増やしたり、長時間の液晶ディスプレイなどを凝視せずに1時間ごとに目を休める、加湿器などを使って湿度を高めるなどの予防策が考えられます。
病院でドライアイの検査をしてもらうこともできますが、一般にまばたきをせずに10秒間以上目を開けていられるかどうか、ドライアイかどうかを簡単に自宅でもチェックする事ができます。
ドライアイの治療法
ドライアイの治療としては、目薬をできるだけ使うようにしましょう。特にヒアルロン酸が配合されている目薬が望ましいとされています。
結膜炎
結膜炎とは昔から目に関する病気の中でも最も多い疾患の一つです。
目における「結膜」がウイルスや細菌、アレルギー反応などを原因として炎症を生じる病気とされています。
結膜炎の分類とそれぞれの症状・原因
結膜炎は大きく「ウイルス性」「細菌性」「アレルギー性」の三つのタイプに分類することができ、それぞれで症状や他人感染の有無も異なります。
ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎とは俗に言われる「はやり目」「プール熱」などが該当します。
主に結膜の充血、目やに、まぶたの腫れ、目がゴロゴロする、耳の前部分(リンパ)が痛い、といった症状がウイルス性結膜炎の特徴です。
はやり目(流行性角結膜炎)
はやり目(流行性角結膜炎)はアデノウイルス(8型・19型)という感染力の強いウイルスが原因で起こる結膜炎の一種です。
感染後1週間程度で発症します。
症状は強いです。完治まで10日ほど必要です。
なお、炎症を起こしている間、瞳の黒目部分に白い点が見えることがありますが、これは症状の改善と共に消えます。
プール熱(咽頭熱)
プール熱(咽頭熱)はよく夏場のプールを媒介して感染する結膜炎で、原因となるウイルスはアデノウイルス(3型・7型)です。
咽頭熱ともいうように陰頭部の腫れと痛みが特徴的です。
この他、風邪に似たような症状を引き起こします。完治まで7日ほど必要です。
細菌性結膜炎
ウイルスより大きい細菌の感染による結膜炎です。
現在では、ほとんどの細菌性結膜炎に対して有効な治療薬がありますので、ウイルス性結膜炎と比較して短期間で治癒します。
結膜の充血、目やに、まぶたの腫れ、目がゴロゴロするといった症状はありますが、リンパの腫れはありません。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎とは、体内に異物(抗原)が入りこむ事による体の過剰防御反応によりおこる結膜炎です。
花粉やカビ、ダニ、ペットの毛などが主な原因となります(ひとそれぞれで異なります)。
原因がハッキリしている場合はその原因を避けることにより症状は軽くなります。
結膜炎の対策・予防策
ウイルス性結膜炎および細菌性結膜炎の場合、ヒトからヒトへと感染するので、注意が必要です。
タオルや皿、コップなどを患者と共有するのは避けましょう。
また、眼科医の許可がでるまで学校等へは出席停止となります。
また、プールなどは他のヒトに結膜炎を感染させてしまいますので元気であっても許可がでるまで厳禁です。
結膜炎の治療法
ウイルス性結膜炎(アデノウイルス)に対しての特効薬はありませんので、自然治癒を待つ事になります。
対して細菌性の結膜炎の場合には細菌ごとに適した点眼剤が処方されます。
アレルギー性の結膜炎の場合はアレルギーの原因となる抗原を避けることで症状を改善することができます。