誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは 誤嚥と詰め込み(窒息)は違う!!
誤嚥とは、異物が食道ではなく気管に入ることをいい、詰め込みとは、気管が塞がり息が出来なくなることを言います。
摂食嚥下障害者や高齢者は誤嚥と誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
誤嚥(動画)
○誤嚥と誤嚥性肺炎とは? 顕性誤嚥と不顕性誤嚥
誤嚥とは、食べたり飲んだりした時に、飲食物が誤って食道ではなく気管に入ってしまうことです。
食事中に食べ物や飲み物が気管に入ってむせるという体験をしたことがある人も多いとおもいます。
飲食物が気管に入ると激しくむせるのは、気管に入った異物を押し出そうとするからです。
これは誤嚥を防止するための防御反応で、むせ込むことで誤って入ってしまった食べ物を気管の外に押し出そうとしているのです。
このような誤嚥を「顕性誤嚥」といい、本人や周りの人もすぐに気がつきます。
しかし、誤嚥に対する防御反応が低下すると誤嚥をしてもむせないことがあります。
それを「むせのない誤嚥(不顕性誤嚥)」と言います。
この状態では、誤嚥した食べ物が気管の中に入ったままの状態になるので注意が必要です。
不顕性誤嚥の場合は、食事の時に限らず、眠っているときなどにも知らない間に唾液などの誤嚥を繰り返してしまっていることがあるので注意が必要です。
○誤嚥とはどんな時に起こる?
誤嚥は嚥下機能に問題があることによっておこります。
原因は様々ですが、のどや舌などの構造そのものに問題がある場合(器質的原因)、神経や筋肉などに問題がある場合(機能的原因)、心理的な疾患が引きおこる場合(精神心理的原因)があげられます。
高齢者の場合、加齢により筋肉や反射が低下することで起こることが主な原因となります。
また、脳梗塞や脳出血などを発症した人は嚥下障害を起こすリスクが高まります。
・嚥下反射が送れて、嚥下と呼吸のタイミングがずれた時。
・気管へ通じる「弁」がうまく閉じられない時。
・‘ゴックン”と飲み込んだ後、咽頭内に食べ物が残った時。
・本来、食道へ入るべき食べ物が気管に入ってしまった。
○誤嚥性肺炎になる3つの原因
誤嚥性肺炎とは、口の中にあった細菌が気管や肺に流れ込んたり、肺に入った飲食物が肺で腐敗して、細菌が繁殖して炎症を起こすことで起こります。
誤嚥したからといって必ず肺炎になるわけではありません。
高齢者はわずかな誤嚥が重篤な肺炎や呼吸器疾患につながりやすいため、誤嚥性肺炎に関して周囲の人が十分に注意しておく必要があります。
1.口の中の細菌が、食事以外の時(睡眠中など)に唾液と一緒に本人や周囲が気付かないで誤嚥する。(不顕性誤嚥)
2.食後や夜間睡眠中に胃や食道からの逆流物を誤嚥する。(胃物逆流誤嚥)
3.食事中に飲食物を誤嚥する。(顕性誤嚥)[adsense]
○こんな症状があれば誤嚥に注意が必要!摂食嚥下障害チェックリスト
・食事中によくむせる
・飲み込むのに苦労することがある
・飲み込んだ後も、口の中に食物が残っている
・固いものがかみにくくなった
・食事の後、がらがら声になる
・よく咳をする(夜間、咳込むことがある)
・食べる量が減った
・元気が無い
・食事時間が長くなった
・食後に疲れてぐったりする
・ぼーっとしていることが多い
・失禁するようになった
・激しく咳込む
・高熱が出る
・濃い痰が多くなった
・呼吸が苦しい
・体重が減った(1ヶ月で5%以上、半年で10%以上)
・舌に白い苔のようなものがついている(舌苔)
○誤嚥性肺炎の予防方法
1.不顕性誤嚥の予防
・ 口の中を清潔に保ち、歯磨きの徹底
・舌のクリーニング
・うがい
・義歯の手入れ、
・虫歯や歯周病の治療をして口の中の細菌を繁殖さない
・側臥位での就寝
2.胃物逆流誤嚥の予防
・食後2時間ほど椅子に座って身体を起こす。
・できなければ、ベッドまたはリクライニング車椅子をリクライニング15~20度にして、頭部を少し前屈。
・就寝時に頭位を高く保つ。
○食事介助の注意点
①目覚めていることを確認
②食前体操、上半身、首、口の運動
③視覚、聴覚、嗅覚を刺激する
④食べるペースを考える
⑤一口量に気をつける
⑥目の高さを合わせる
⑦食事は適温で
⑧介助時の姿勢
⑨水やゼリーなどを食事の合間に与える
⑩食後の口腔ケア
⑪食後しばらくの間、上体を起こしておく
※そして・・・何と言っても、一番大切なのは・・・“口腔ケア”です!
https://kanrieiyoushiram.com/softtigai-post-422/
○まとめ
高齢になると飲み込む力は衰えていきます。
そのため、食べ物をのどに詰まらせる事故も度々発生し、窒息して亡くなってしますケースもあるのです。
また、加齢や麻痺の影響などで誤嚥性肺炎のリスクも高まります。
摂食嚥下障害チェックリストで誤嚥の前兆を把握して、適切に対処していく事が大事です。