【介護報酬改定】栄養改善加算の書式や算定要件とは?厚生労働省の資料や流れをわかりやすくまとめてみました。
栄養改善加算とは、低栄養状態またはそのおそれがある高齢者に対して、栄養状態の改善を図る相談や管理といったサービスを提供した場合に算定できる加算です。
平成30年度の介護報酬改定では、外部との連携により管理栄養士を1名以上配置することでこの加算が算定できるようになりました。
この加算では、通所系の事業所で、利用者の心身状態の維持または向上を含め、栄養改善に対するサービスを提供します。
栄養改善加算の意義・目的
1)楽しみ、生きがいと社会参加の支援
要介護の高齢者にとって食べることは、日常生活での「楽しみ」を担っています。また、要支援者の高齢者にとっては、友人や家族との外食、買い物や料理などの「社会参加」への意欲が向上する重要な活動です。
2)生活の質(QOL)の向上
食べることは、高齢者とそのご家族や友人との「コミュ ニケーション」が楽しめる活動です。また、睡眠と食事は密接な関係性があり、食事のリズムを整えることによって規則的な生体リズムを形成し、体内の消化酵素やホルモンの分泌、神経調節、臓器組織の活性のバランスを保を保つ重要な活動です。
3)低栄養状態の予防
高齢者の低栄養状態の改善は、介護予防の観点からは糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病に対する食事療法も重要な活動とされています。
栄養改善加算を算定できる事業所
平成30年度(2018年)の介護報酬改定で栄養改善加算は、次の事業所で算定することができます。
◯デイサービス(通所介護)
通所介護・介護予防通所介護・日常生活支援総合事業通所型サービス ◯デイケア(通所リハビリテーション |
厚生労働省の資料の確認
【報酬告示】
栄養改善加算の単位数は、要介護、要支援ともに1回につき「150単位」を算定することができます。
※ただし、原則3カ月以内であり、要介護者は月2回、要支援者は月1回までを上限とします。
〇栄養改善加算の算定要件
栄養改善加算を算定するためには、都道府県や指定都市などの指定官庁へ届け出が必須であり、「事業所の算定要件」と「対象者の算定要件」が定められています。
〇事業所の算定要件
◯ 管理栄養士を1名以上配置すること。または、外部(他の介護事業所・医療機関・栄養ケア・ステーション)との連携により管理栄養士を1名以上配置していること。
※常勤に限らず非常勤でも配置できるが、その場合サービス提供が遂行できる勤務体制を整えること。
◯ ご利用者ごとの摂食・嚥下機能および食形態にも配慮した栄養ケア計画を作成し、状態を定期的に記録すること。
◯ 栄養改善サービス提供の手順を実施すること。
◯ 計画の進歩状況を定期的に評価すること。
◯ 厚生労働大臣の定める基準を満たした指定通所介護事業所であること。
〇対象者の算定要件
◯ 過去6か月の間に3%以上、もしくは2、3kg以上の体重の減少が認められる者
◯ 食事摂取量が不良(75%以下)の者
◯ 血清アルブミン値が3.5g/dl以下の者
◯ BMIが18.5未満の者
◯ そのほか低栄養状態にある、またはそのおそれがあると認められた者
また、以下の問題が認められた者に対して、対象者に該当するか確認が必要となります。
◯ 口腔および摂食・嚥下機能
◯ 生活機能の低下
◯ 褥瘡に関する事柄
◯ 食欲の低下
◯ 閉じこもり
◯ 認知症
◯ うつ
栄養改善加算の様式・書式例
厚生労働省から様式・書式の例が示されています。
栄養改善加算の様式例(通所・居宅)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000199128.pdf
関連性のある栄養スクリーニング加算はこちら
https://kanrieiyoushiram.com/post-1278/
栄養改善サービス提供の手順、流れ
- ①サービス利用開始時に、利用者の低栄養状態のリスクを把握する。
- ②栄養ケア計画について、管理栄養士を中心に、担当する介護スタッフや看護職員らが共同で作成し、利用者の摂食・嚥下機能および食形態に配慮しながら、栄養改善に向けて解決すべき課題と取り組むべき項目を記載する。計画内容は利用者またはその家族に説明し、同意を得る。
- また、通所介護においては、通所介護計画の中に栄養ケア計画に相当する内容を記載する場合、その記載を以て栄養ケア計画の作成に代えることができる。
- ③管理栄養士は、栄養ケア計画に基づいた栄養改善サービスを利用者ごとに提供する。実施経過中に問題があれば適宜栄養ケア計画を修正する。
- ④定期的に利用者の生活機能の状況を検討し、およそ3カ月ごとに行う体重測定等により利用者の栄養状態の評価を行い、その結果を利用者の担当であるケアマネージャーや主治医に情報提供する。
- ⑤サービス提供の記録において、栄養ケア計画に従い管理栄養士が利用者の栄養状態を定期的に記録する場合、この記録とは別に栄養改善加算を算定するために利用者の栄養状態を定期的に記録する必要はない。
- サービスを開始してからおよそ3カ月ごとに栄養状態の評価を行い、改善状態に応じて引き続きサービスを実施、算定することができます。その際は、栄養改善サービス提供の手順に従い、効果を上げる為の内容の見直しを行います。
最後に
栄養改善加算とは、通所版の栄養ケアマネジメントと思ったらわかりやすいと思います。
対象者はスクリーニングで絞られますが、3カ月評価の流れは同じです
栄養改善加算は、高齢者の低栄養状況を早期に発見し、「要支援者が重度の状態になることを防止すること」「要介護者の楽しみや社会参加の促しすること」を目的とした重要な加算です。
そして、平成30年度の介護報酬改定では、「外部の管理栄養士」でも算定ができるようになりました。
低栄養状態の改善および重度化予防を図ることは、高齢者の自立支援につながる取り組みとなりますので、管理栄養士とてして通所事業にかかわるチャンスですね!