【高齢者 口腔機能 摂食嚥下】②準備期とは?食塊(しょっかい)がうまくできますか?

②準備期(咀嚼期)とは?

準備期(咀嚼期)とは、食べ物を口に取り込んで、歯で噛んだり、舌と上あごで押しつぶしたりして細かくし、唾液とよく混ぜて、咀嚼をして食塊(しょっかい)を形成するまでの段階を言います。
準備期では、食物を口に取り込み(捕食)、唾液とよく混和しながら咀嚼をしたり、舌と口蓋で食物を押しつぶしたりします。
その際に、頬や舌などでうまく調節しながら歯列の上に食塊を乗せて噛んでいく。
機能的な問題だけでなく、歯がない、義歯がないなどという事も大きく影響します。

○準備期(咀嚼期)は大きく二つの動きにわけられます。「捕食の動き」と「咀嚼の動き」です。

○捕食とは
手づかみや食器・食具を使い食べ物を口元に運び
唇で感じ(温度・硬さ・大きさ・粘性・液状などなど)
前歯を使い噛みきって適当な大きさにして口の中に取り込み
唇を閉じて食べ物が口からこぼれないようすることです。

○咀嚼とは
口に入った食べ物を奥歯や舌・頬を使い、唾液と混ぜながらすりつぶして食塊(しょっかい)を作っていきます。
口の中で飲み込みやすい「形」「大きさ」「硬さ」の流動食を作っています。

○準備期に問題が生じると?
・歯の欠損。義歯が合わない。
・口の中に飲食物を取り込めない。
・食物をかめない。
・飲食物が口からこぼれる
・口腔内の麻痺(唇・舌・頬)による食塊形成の不良。
などなど

食物を咀嚼したり押しつぶしたりできず、食事に時間がかかったり、食物をそのまま丸呑みしたりします。
次の段階の口腔期が不良であると、咀嚼されていない食物がそのまま咽頭や喉頭に入っていったり、十分咀嚼できていない食物で窒息事故を起こしたりすることもあります。
また咀嚼運動が見られても、残存歯数が少なく義歯などが装着されていなければ、準備期に問題が生じます。

※食塊(しょっかい)とは何??

食べ物が咀嚼により唾液と混合され、飲み込みやすい形に整えられたものです。
ごっくんの直前の食べ物です。
形ある食べ物を口腔内で嚥下食(ミキサー食や流動食)にしていると思っていただければよいと思います。
刻み食がダメ!!と言われているのは、刻みすぎて小さくしすぎているため、逆に食塊を形成しにくくなります。
私は刻み食が悪いとは思いませんが、刻みすぎた食事は食べにくいと思います。
私の施設では刻みすぎた刻み食は無くし、ソフト食にシフトしました。
食塊について理解していただけたでしょうか?
そこで実験!!
みじん切りの胡瓜とスティックの胡瓜 どちらが咀嚼回数が少なくなるでしょうか? 自分で試してみて下さいね^^

○対応方法は?

・歯の状態や入れ歯を確認する。
噛み合わせや義歯があっているか、歯科医師に相談する。

・口の筋肉の動きを良くする。
口唇、舌、頬などののマヒを改善するため嚥下体操をする。

・食形態を確認、変更する。
本人の状態にあった食形態の食種へ変更する。

適応できるのであれば義歯を装着したり、口腔機能を適切に評価して適切な食事形態に調整することが必要です。
実際に普段食べている食事の摂取状況を観察することが重要です。

○まとめ

摂食・嚥下の5段階のうち、先行期に続く、準備期についてまとめました。
•歯の欠損や口唇・舌・口蓋垂などに麻痺などの問題があると準備期で上手く食塊ができません。
•食べ物が口からこぼれる、口の中に残る、上手く食塊ができないなどの問題がでます。
•歯の治療や入れ歯の調整、口の体操、食事形態などの工夫をすることで安全に食べられるようにします。

唇や舌がすこし動かしにくいだけでも、いつものように食べることが難しくなります。

高齢者や麻痺がある人にはたいへんな問題です。
利用者の口の状態に合わせて、食事形態や食事環境を整えて、しっかり食べられることを目標にしましょう。

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