【介護報酬改定】栄養スクリーニング加算の書式や算定要件とは?厚生労働省のQ&Aや流れをわかりやすくまとめてみました。
平成30年度の介護報酬改定にて、栄養スクリーニング加算が新設された理由について知っていますでしょうか?
現在日本における75歳以上の高齢者の「約22%」は、低栄養状態(サルコペニア)といわれており、低栄養状態の方がそのまま運動や日常生活動作を行うと、さらに骨格筋量が低下する危険性があります。そこで、平成30年度の介護報酬改定では、自立支援・重度化防止につながる取り組みのひとつとして「栄養スクリーニング加算」が創設されることとなりました。
栄養スクリーニング加算とは?
栄養スクリーニング加算は、栄養士ではなく介護スタッフでも、利用開始時およびサービス利用中の6か月ごとに、高齢者の栄養に関するスクリーニングを行い、栄養状態を報告することで算定できる簡易なものです。
利用者様の栄養状態に問題がないかを定期的に把握・記録することで、低栄養のリスクのある方を早期に見つけるための施策です。
栄養スクリーニング加算を算定できる事業所
平成30年度(2018年)の介護報酬改定で新設された栄養スクリーリング加算は、次の事業所で算定することができます。
◯ 通所介護(デイサービス)
◯ 通所リハビリ(デイケア) ◯ 小規模多機能 ◯ グループホーム ◯ 特定施設など |
厚生労働省の資料の確認
【報酬告示】
栄養スクリーニング加算 1回につき5単位
※ただし、6ヶ月に1回が限度です。
1)栄養スクリーニングの算定に係る栄養状態に関するスクリーニングは、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われることに留意すること。
2)栄養スクリーニング加算の算定に当たっては、利用者について、次に掲げるイ)からニ)に関する確認を行い、確認した情報を介護支援専門員に対し、提供すること。
イ)BMIが18.5未満である者
ロ)1~6月間で3%以上の体重の減少が認められる者または「地域支援事業の実施について」(平成18年6月9日老発第0609001号厚生労働省老健局長通知)に規定する基本チェックリストのNo.11の項目が「1」に該当する者
ハ)血清アルブミン値が3.5g/dl以下である者
ニ )食事摂取量が不良(75%以下)である者
3)栄養スクリーニング加算の算定を行う事業所については、サービス担当者会議で決定することとし、原則として、当該事業所が当該加算に基づく栄養スクリーニングを継続的に実施すること。
4)栄養スクリーニング加算に基づく栄養スクリーニングの結果、栄養改善加算に係る栄養改善サービスの提供が必要と判断された場合は、栄養スクリーニング加算の算定月でも栄養改善加算を算定できること。
栄養スクリーニング加算の様式
厚生労働省から様式・書式の例が示されています。
栄養スクリーニング加算の様式例(通所・居宅)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000199128.pdf
関連性のある「栄養改善加算」はこちらを確認してください。
https://kanrieiyoushiram.com/post-1282
厚生労働省のQ&A
問1)栄養改善加算と栄養スクリーニング加算は同時に算定できるか。
答1)当該利用者が栄養改善加算の算定に係る栄養改善サービスを受けている間及び当該 栄養改善サービスが終了した日の属する月は、算定しない。 ただし、栄養スクリーニング加算に基づく栄養スクリーニングの結果、栄養改善加算にかかる栄養改善サービスの提供が必要と判断された場合は、栄養スクリーニング加算の算定月でも栄養改善加算を算定できる。 なお、定員超過、人員基準欠如により減算となる場合には算定できません。
問30) 当該利用者が、栄養スクリーニング加算を算定できるサービスを複数利用している場合、栄養スクリーニング加算の算定事業者をどのように判断すればよいか。
答30) サービス利用者が利用している各種サービスの栄養状態との関連性、実施時間の実 績、栄養改善サービスの提供実績、栄養スクリーニングの実施可能性等を踏まえ、サービス担当者会議で検討し、介護支援専門員が判断・決定するものとする。
厚生労働省「平成 30 年度介護報酬改定に関する Q&A(Vol.1)
まとめ
半年に1度 5単位では施設収入にはあまり貢献できませんね。
そのかわり、簡単に算定できるようになっています。
あと、栄養スクリーニング加算を算定する場合は、当該事業所以外で既に算定している場合は算定できません。また、当該利用者が栄養改善加算の算定に係る栄養改善サービスを受けている間および当該栄養改善サービスが終了した日の属する月は、算定しないことに注意が必要です。
最後に、栄養スクリーニング加算は1人の利用者について、複数事業所では算定できず、介護支援専門員がサービス担当者会議などで調整・判断するため、栄養士が中心になる加算ではありません。
しかし、利用者の栄養状態の改善に貢献するためには、知っておかなければならない知識ですね。