管理栄養士国家試験対策 人体の構造と機能 免疫と生体防御
人体の構造と機能 リンパ系 防御機構 アレルギー 能動免疫と受動免疫 HIV 抗原体
管理栄養士の国家試験の基礎知識を科目別にまとめてみました!
最後に管理栄養士国家試験の過去問題も復習をかねて解いて見てくださいね。
「人体の構造と疾病の成り立ち」 こちらもチェックしてください。
感覚器系 呼吸器系 血液 骨格系 筋系 生殖器系 免疫と生体防御
リンパ系
・全身のリンパ系
腹部内臓および下肢からのリンパは乳ビ槽に集められ胸管となる。左鎖骨下リンパ本幹など左上半身のリンパは胸管に合流し静脈に注がれる。右上半身のリンパは、右リンパ本幹となって静脈に注がれる。リンパ管は所々にリンパ節を作る(腋窩リンパ節、鼠径リンパ節)
・リンパ節
リンパ節を断面で見ると周囲は被膜で覆われ、中に髄質がある。また、輸入リンパ管および輸出リンパ管がリンパ節を出入りしており、異物や雑菌を取り除くフィルタ的な働きや免疫に関与している。
・その他のリンパ性器官
リンパ性器官 | 機能 |
脾臓 | 血液をろ過し、細菌やウイルス、異物を除去する |
胸腺 | 若年差において活発に機能しており、Tリンパ球の成熟に関わる |
扁桃 | 喉に侵入してくる細菌や異物を除去する |
パイエル板 | 小腸の腸管壁に存在し、腸管壁からの細菌の侵入を防ぐ |
免疫
・免疫を担当する主な組織
免疫に関与する主な組織は、骨髄、胸腺、リンパ節、脾臓、腸管にあるリンパ小節などである。
・抗体の構造
抗体はY字型をしたタンパク質で、二組の重(H)鎖と軽(L)鎖からできている。Y字型の両方の先端部分で抗原と結合する。全体の構造を支える定常領域と、抗体ごとに形の異なる可変領域がある。
・抗体の種類
クラス | 基本構造 | 特徴 |
lgD | 単量体 | リンパ球の表面に存在。役割は不明。 |
lgA | 単量体(血清型)・二量体(分泌型) | 血清型と分泌型が存在。分泌型は唾液、腸管粘膜分泌液、母乳中に存在。 |
lgM | 五量体 | 免疫グロブリン中、分子量が最大。感染初期に発現。 |
lgE | 単量体 | 肥満細胞に結合し、抗原を補足すると、ヒスタミン・セトロニンを放出させ、即時型(I型)アレルギーの原因となる。 |
lgG | 単量体 | 免疫グロブリン中、数が最多。母体から胎盤を十て胎児へ移行(胎児通貨性) |
・抗原体反応の仕組み
抗原(異物)表面の特異的な形の部分に抗体が結合する。抗体が抗原に結合するとそこに補体という物質が作用して異物を破壊し、処理する。
・体液性免疫の仕組み
体内に侵入した異物の抗原情報を樹上細胞などがT細胞に提示する。T細胞は、その抗原に特異的に結合して破壊する抗体の産生放出やその停止をB細胞に指令する。これらの細胞は再度の侵入に備え記憶細胞となって待機する。
・能動免疫と受動免疫
・能動免疫は、自分自身の形質細胞において抗体を生産すること。細菌やウイルスに実際に感染して自然に免疫を作る方法と、ワクチン接種により人工的に免疫を作る方法がある。
・受動免疫は、他人または胴縁ですでに生産された抗体を体内に入れ、一時的に免疫を作る方法。
細胞・因子 | 機能 |
マクロファージ | 抗原を貪食して抗原の提示を行う |
ヘルパーT細胞 | マクロファージにより提示された抗原と結合し、キラーT細胞やB細胞の生産を刺激する |
キラーT細胞 | がん細胞やウイルスの感染細胞を攻撃する |
メモリーT細胞 | 抗原の情報を記憶し、次に同一の抗原が侵入したときに、すぐに反応できるようにする |
サプレッサーT細胞 | B細胞やT細胞の働きを抑制し、免疫反応を終息させる |
B細胞 | ヘルパーT細胞の刺激を受け、形質細胞や記憶細胞に分化する |
形質細胞 | B細胞が分化した細胞で、抗体を産生する |
抗体 | B細胞が分化した形質細胞で産生され、抗原と結合すると中和・沈降・凝集し、食細胞や補体による抗原の破壊が起こりやすくなる |
補体 | 異物と結合し、異物の細胞膜を破壊する |
・HIVの構造(動画)
AIDSのウィルスはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)と呼ばれ、正二十面体(正三角形が20個集まった形)を呈する。脂質二重膜と2層のキャプシドと呼ばれる殻で包まれ、中には2本のHIV RNAや逆転写酵素などの物質がある
・HIV増殖のしくみ(動画)
HIVはヘルパーT細胞(リンパ球の一種)の表面にあるCD4に接触すると細胞内に取り込まれる。そこで逆転写酵素によってRNAからDNAをつくる。更にT細胞自身の機構を利用し新しいHIVを増殖させる。
アレルギー
引用:IPA「教育用画像素材集サイト」
★過去問題
(1) Ⅰ型
(2) Ⅱ型
(3) Ⅲ型
(4) Ⅳ型
(5) Ⅴ型
解答
(1) Ⅰ型…アナフィラキシー型
28-48 免疫に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) Bリンパ球は、胸腺で成熟する。
(2) 抗体は、抗原の特定部位を認識する。
(3) Tリンパ球は、抗体を産生する。
(4) 赤血球は、抗原提示を行う。
(5) IgMは、分泌型の免疫グロプリンである。
解答
(2) 抗体は、抗原の特定部位を認識する。
29-48 免疫に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)好中球は、抗体を産生する。
(2)マクロファージは、抗原提示を行う。
(3)形質細胞は、細胞性免疫を担う。
(4)母乳中の抗体による免疫は、能動免疫である。
(5)抗体は、血漿のアルブミン分画にある。
解答
(2)マクロファージは、抗原提示を行う。
30-42 免疫に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)ヘルパーT細胞は、非特異的防衛機構を担う。
(2)形質細胞は、非特異的防衛機構を担う。
(3)ナチュラルキラー(NK)細胞は、特異的防衛機構を担う
(4)B細胞は、細胞性免疫を担う。
(5)抗原提示細胞は、細胞性免疫と体液性免疫を担う。
解答
(5)抗原提示細胞は、細胞性免疫と体液性免疫を担う。
31-42 免疫グロブリンについての記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1) IgMは、胎盤を通過する。
(2) IgAは、唾液中に含まれる。
(3) IgGは、即時型アレルギー反応に関わる。
(4) IgEは、肥満細胞から分泌される。
(5) IgEは、免疫グロブリンの中で最も血液中濃度が高い。
解答
(2) IgAは、唾液中に含まれる。
32-42 免疫と生体防御に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)好中球は、自然免疫を担っている。
(2)ナチュラルキラー(NK)細胞は、特異的防御機構を担っている。
(3)Bリンパ球は、胸腺で成熟する。
(4)Tリンパ球は、免疫グロブリンを産生する。
(5)免疫グロブリンは、細胞性免疫を担っている。
解答
(1)好中球やマクロファージは、自然免疫を担っている。