【呼吸器の病気の治療法・予防対策】 肺・気管支の病気の種類と一覧表 【健康と病気】

【呼吸器の病気の治療法・予防対策】 肺・気管支の病気の種類と一覧表 【健康と病気】 

肺・気管支など呼吸器の病気には肺炎、肺結核、気管支喘息、気胸、肺気腫、気管支拡張症、サルコイドーシス、肺腫瘍、無気肺、じん肺、肺塞栓症、肺梗塞、肺水腫、胸膜炎、胸膜肥厚、膿胸、縦隔腫瘍、横隔膜ヘルニア、一酸化炭素中毒などがあります。

健康と病気についてはこちらにまとめています。

肺炎

肺炎とは、病原微生物が肺の奥にある肺胞(はいほう)と呼ばれる場所に入り込み、そこで増殖し肺組織をおかす病気です。

この病原微生物に対して体がそれに対抗して炎症反応を起す結果現れる症状を肺炎と呼びます。

肺炎の症状

肺炎の症状としては、発熱や喉痛などの風邪と同じ症状に始まり、高熱・咳・胸痛などを伴います。

また、小児や老人などの場合、上記以外にも下腹部痛などを訴える事があり注意が必要です。

肺炎は子供や老人など体力低い人の場合、急速に悪化して死亡する可能性もあります。

肺炎の原因

病原体が肺の奥にある肺胞にまでもぐりこみ、そこで炎症を起す事により発症する病気です。

なお、肺炎は原因となる病原体の種類により以下のように分類されます。

  1. 細菌性肺炎(肺炎球菌・連鎖球菌・ブドウ球菌・インフルエンザ菌)
  2. ウイルス性肺炎(インフルエンザウイルス・アデノウイルス)
  3. マイコプラズマ肺炎(マイコプラズマ)
  4. リケッチア肺炎
  5. クラミジア肺炎

肺炎の対策・予防策

肺炎は風邪に似た症状を引き起こしますが、胸部X線写真や血液検査、痰などを検査する事で症状の度合いも測定できます。

予防としては、風邪に似た症状が現れたときに栄養価の高い食事をとり、安静にするのが第一でしょう。

肺炎の治療法

通常は安静にすることで肺炎は根治することができます。

安静にし、かつ栄養価の高い食事をしていることで自然と治ります。

このとき喫煙は厳禁です。

肺炎に対する薬物療法としては以下の治療が行われます。

・対処療法

解熱剤や鎮痛剤、鎮咳剤などが投与、脱水症状が出ている場合には天敵や水分補給が行われます。

・原因治療

マイコプラズマやリケッチアによる肺炎にはマクロライド系の抗生物質が投与されます。ただし、ウイルス性の肺炎に関しては、現在特効薬はありません。

肺結核

肺結核とは、結核菌による慢性的な肺炎を指します。

半世紀前までは国民病と恐れられた病気でしたが近年では治療法の確立などにより患者数は激減しています。

しかし、高齢者やHIV患者など抵抗力が弱っている人にとっては今でも致死率の高い病気の一つです。

肺結核の症状

結核は初期の段階ではほとんど症状はありません。

そのため、健康診断などで結核菌を保有していることが分かる事がほとんどです。

その後症状が進行すると咳や胸痛、血痰、寝汗などの症状がでます。

二週間以上にわたり、咳や痰が続く場合には、肺結核の可能性を疑って胸部X線写真を撮り診察することをおすすめします。

肺結核の原因

肺結核は空気感染することから、結核患者の痰に含まれている結核菌が咳などを通じて周囲に飛散してこれを吸引する事によって感染します。

一方で、人体では白血球(マクロファージ)を動員させて、この結核菌を捕食します。

しかし、結核菌自体はマクロファージと呼ばれるものの中で生存し続ける事になります。

そのため、人の抵抗力などが弱まると再度活動を開始します。

このため結核は「眠れる菌」とも呼ばれるわけです。

肺結核の対策・予防策

通常、弱毒化した結核菌を接種し結核菌に対するツベルクリン反応というチェックを行います(ツ反応ともいう)。

ツベルクリン接種後、反応が出た場合は結核菌に対する免疫があると判断されます。

対して反応が出ない場合は結核菌に対する免疫を保持していない事になりますので、BCG(結核菌に対するワクチン)を接種します。

肺結核の治療法

国民病・難病・不治の病などと恐れられた結核ですが、近年は薬物療法が確立されています。

ただし、近年は薬物に対する抵抗を持つ多剤耐性結核菌なども出現しており、これらの結核菌に侵された場合は治療期間が伸びる場合もあります。

通常結核が発症した場合、治療期間は6~9ヶ月程度必要になります。

注意点として、結核の症状は治療を始めてから比較的早期に収束する為、治療を中断することが問題となっています。

結核の治療を中断した場合残った結核菌が薬剤に対する耐性を持つ可能性があり、この耐性を持った結核菌が周囲に再感染することにより被害が拡大する恐れがあります。

このことから、肺結核と診断される場合自分で勝手に治ったと判断するのではなく、医師の判断に従うようにしましょう。

なお、肺結核は空気感染しますので、排菌のある結核患者については結核予防法という法律に基づき結核患者専用の病棟にて治療を受ける必要があります。

気管支炎

気管支炎とは、気管および気管支粘膜の炎症で、細菌やウイルス、科学性刺激ガスなど様々な原因で起こる病気です。

慢性気管支炎と急性気管支炎の二種類の気管支炎があります。

気管支炎の症状

気管支炎の症状についてですが、急性気管支炎と慢性気管支炎によりそれぞれ症状は異なります。

急性気管支炎の症状

急性気管支炎は主に激しい咳と痰が起こり風邪やインフルエンザなどの合併症として生じます。

風邪が喉頭よりも上部で炎症を起すのに対して、器官の方へ下行するのが気管支炎といえます。

慢性気管支炎の症状

そもそも慢性気管支炎の定義は「肺や気管支、上気道に限局性病変が見られず、かつ慢性持続性の咳や痰が2年以上、少なくとも1年のうちに3ヶ月以上続くもの」とされています。

慢性気管支炎の主な症状としては痰が絡む咳が特徴で、痰は粘着性のあるものが多くなります。

慢性気管支炎であっても、肺気腫などの合併が無い限り生命に対して甚大な被害を与える恐れはありませんが、長期にわたる炎症により呼吸不全を引き起こすような場合があります。

気管支炎の原因

急性気管支炎の場合、通常は風邪やインフルエンザなどの疾病の合併症として表れますので、これらの原因が取り除かれると、気管支炎も治まります。

慢性気管支炎の場合、現在明確な原因は分かっていませんが、喫煙や大気汚染地域での居住など汚れた空気に接する機会の多い人に急性気管支炎を患う患者が多いため、これらには密接な関係があるとされています。

気管支炎の対策・予防策

特に、慢性気管支炎の場合は、原因として考えられる汚れた空気に接する機会を極力減らす事が大切になります。

喫煙者であれば禁煙するなどして、自分のできうる範囲でできる限りキレイな空気で生活するようにしましょう。

気管支炎の治療法

急性気管支炎の場合、前述のとおり風邪などの合併症として発症しますので、それらの原因を取り除くことが治療法となります。

それに対して、慢性気管支炎の場合、咳を切れやすくする去痰剤や気管支拡張剤などを使って気管支炎の症状を鎮めるといった対処療法が主な治療法となる為、根治は難しいです。

慢性気管支炎と診断された場合はこれ以上の悪化を抑制する為に禁煙の実行や部屋の清掃・換気などを十分に行うなどの生活習慣の改善が必要となります。

気管支拡張症

気管支拡張症とは、名前の通り気管支が拡張したまま動きが止まってしまい、そこに痰(たん)が溜まりやすくなる病気をいいます。

気管支炎や肺炎などの疾病リスクが高まることから早期の治療が必要です。

気管支拡張症の症状

気管支拡張症の症状としては、慢性的な咳が続き、色の付いた痰が大量に排出されるといった症状が現れます。

また、場合によっては血液が混じることもあります。

さらに、発熱を繰り返したり、疲労感が貯まったり、体重がへったりするという症状が現れます。

気管支拡張症の原因

気管支拡張症の原因は大きく、「先天的な要因」「幼児期の気管支炎や肺炎」などが原因とされています。

気管支拡張症の対策・予防策

気管支拡張症について、現在明確な予防法は確立されていません。

ただ、この病気については胸部X線写真で簡単に確認することが可能な病気ですので、定期健康診断などを通じて、早期発見し合併症を引き起こす前に治療するようにしましょう。

気管支拡張症の治療法

気管支拡張症の治療法としては、まずは感染の早期発見に伴う抗生物質の投与が行われます。

また、呼吸機能を維持する為の気管支拡張薬などが投与されます。症状が進んでいる場合には、酸素療法や外科的手術による肺の切除などが治療として行われます。

気管支喘息

気管支喘息とは、気管支が近い範囲で急激に収縮を起こし細くなる病気を指し、呼吸困難を伴います。

重症の気管支喘息の場合は精神不安定や失神など生命に関する症状を引き起こす事もあります。

気管支喘息の症状

気管支喘息の症状としては、息苦しさを感じる事が主な症状として現れ、激しい咳や嘔吐感などを伴う場合もあります。

さらに、気管支喘息が重症になると錯乱や失神などといった精神に異常をきたすこともあり、生命上の危険にさらされる可能性もあります。

気管支喘息の原因

気管支喘息は原因物質(アレルゲン・抗原物質など)と呼ばれるものが気管支内部に吸い込まれて、粘膜で免疫グロブリンE(IgE)抗体が抗原抗体反応を起こし、各種化学伝達物質が放出される事によって起こるとされています。

これらの化学物質は気管支を収縮させ、粘膜に過剰な水分を蓄積させる事により気管支の内膣が狭くなり呼吸ができなくなります。

さらに、気管支喘息になってしまうと、気管支の炎症状態が続き(慢性の炎症状態)、わずかな原因物質でも発作を引き起こすようになります。

この他、過労や寝不足、飲酒、風邪などは発作を引き起こす誘引となります。

主な気管支喘息の原因物質としてはアトピー型のダニやハウスダストなどが知られています。

気管支喘息の対策・予防策

気管支喘息になってしまった場合は、日常から生活態度に配慮する(節酒・安静・風邪の予防)他、原因物質をさけたり、適度な換気を行うなどの生活習慣を身につけるようにしましょう。

気管支喘息の治療法

気管支喘息の治療法として、発作を抑える薬(対応救急薬)や吸入ステロイド薬を通じた慢性の炎症状態を治す薬を投与して治療を進めていきます。

肺気腫

肺気腫とは、喫煙や加齢などを原因として肺胞に弾力がなくなり、吐息が弱くなる病気のことをいいます。

喫煙する高齢者かつ男性に患者が多いのが特徴で、悪化を繰り返すたびに肺気腫は進行します。

肺気腫の症状

肺気腫の症状として、息切れや咳・痰、痩身化、風邪などの疾病にかかりやすくなるなどの症状が現れます。

肺気腫が進行すると気管支炎が起こり、さらに肺気腫の症状が重くなるという悪循環が引き起こされます。

肺気腫の原因

肺気腫の原因としては次の三大要因が原因であるとされています。

  1. 長期間に渡る喫煙
  2. 高齢
  3. 男性

上記の三つに該当する方が肺気腫にとってのリスクファクターを抱えているといわれています。

肺気腫の対策・予防策

肺気腫については、胸部X線写真やCT、MRI、呼吸機能検査、血液検査などの様々な検査で発病を調べる事が可能です。

主に生活習慣の改善などを通じて肺気腫の悪化を予防しましょう。

肺気腫の治療法

肺気腫の治療法として、禁煙や軽運動、呼吸法に関する指導などが行われます。

また、症状の度合いに応じて気管支拡張剤の投与や抗生物質の投与が行われます。さらに、呼吸不全を併発している場合には酸素療法(高濃度の酸素を吸引し呼吸を助ける)なども実施されます。

健康と病気についてはこちらにまとめています。

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