2021年より栄養マネジメント加算が包括され、栄養マネジメント強化加算が始まりました。次回の介護報酬改定2024年までに特養と老健では栄養ケアマネジメントをやっていないと減算されることも決まりました。介護施設の管理栄養士でも厚生労働省の資料をよく理解できていない方もいるみたいですので、説明文を紐解いていきたいと思います。
【ここだけみれば大丈夫!!介護報酬改定2021】管理栄養士が関わる事をわかりやすくまとめした!
厚生労働省の資料
下記が厚生労働省の栄養ケア・マネジメントの実務についての原文になります。重要な所はマーカーを引いています。
2 栄養ケア・マネジメントの実務等について
⑴ 栄養ケア・マネジメントの体制
ア 栄養ケア・マネジメントは、ケアマネジメントの一環として、個々人に最適な栄養ケアを行い、その実務遂行上の機能や方法手順を効率的に行うための体制をいう。
イ 施設長は、管理栄養士と医師、歯科医師、看護師及び介護支援専門員その他の職種(以下第4において「関連職種」という。)が共同して栄養ケア・マネジメントを行う体制を整備すること。
ウ 施設長は、各施設における栄養ケア・マネジメントに関する手順(栄養スクリーニング、栄養アセスメント、栄養ケア計画、モニタリング、評価等)をあらかじめ定める。
エ 管理栄養士は、入所者又は入院患者(以下「入所(院)者」という。)に適切な栄養ケアを効率的に提供できるよう関連職種との連絡調整を行う。
オ 施設長は、栄養ケア・マネジメント体制に関する成果を含めて評価し、改善すべき課題を設定し、継続的な品質改善に努める。
⑵ 栄養ケア・マネジメントの実務
ア 入所(院)時における栄養スクリーニング
介護支援専門員は、管理栄養士と連携して、入所(院)者の入所(院)後遅くとも1週間以内に、関連職種と共同して低栄養状態のリスクを把握する(以下「栄養スクリーニング」という。)。なお、栄養スクリーニングは、別紙様式4-1の様式例を参照すること。
イ 栄養アセスメントの実施
管理栄養士は、栄養スクリーニングを踏まえ、入所(院)者毎に解決すべき課題を把握する(以下「栄養アセスメント」という。)。栄養アセスメントの実施にあたっては、別紙様式4-1の様式例を参照すること。
ウ 栄養ケア計画の作成
① 管理栄養士は、前記の栄養アセスメントに基づいて、入所(院)者のⅰ)栄養補給(補給方法、エネルギー・たんぱく質・水分の補給量、療養食の適用、食事の形態等食事の提供に関する事項等)、ⅱ)栄養食事相談、ⅲ)課題解決のための関連職種の分担等について、関連職種と共同して、別紙様式4-2の様式例を参照の上、栄養ケア計画を作成する。その際、必要に応じ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士の助言を参考とすること。なお、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 39 号)第 12 条若しくは第 49 条において準用する第 12 条、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第 14 条若しくは第50 条において準用する第 14 条、健康保険法等の一部を改正する法律附則第 130 条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準第 15 条若しくは第 50 条において準用する第 15 条、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 18 年厚生労働省令第 34 号)第 138 条若しくは第 169 条において準用する第138 条又は介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第 17 条若しくは第 54 条において準用する第 17 条において作成することとされている各計画の中に、栄養ケア計画に相当する内容をそれぞれ記載する場合は、その記載をもって栄養ケア計画の作成に代えることができるものとする。
② 管理栄養士は、サービス担当者会議(入所(院)者に対する施設サービスの提供に当たる担当者の会議)に出席し、栄養ケア計画原案を報告し、関連職種との話し合いのもと、栄養ケア計画を完成させる。栄養ケア計画の内容を、施設サービス計画にも適切に反映させる。
③ 医師は、栄養ケア計画の実施に当たり、その同意等を確認する。
エ 入所(院)者及び家族への説明
介護支援専門員等は、サービスの提供に際して、施設サービス計画に併せて栄養ケア計画を入所(院)者又は家族に分かりやすく説明し、同意を得る。
オ 栄養ケアの実施
① サービスを担当する関連職種は、医師の指導等に基づき栄養ケア計画に基づいたサービスの提供を行う。
② 管理栄養士は、食事の提供に当たっては、給食業務の実際の責任者としての役割を担う者(管理栄養士、栄養士、調理師等)に対して、栄養ケア計画に基づいて個別対応した食事の提供ができるように説明及び指導する。なお、給食業務を委託している場合においては、委
託業者の管理栄養士等との連携を図る。
③ 管理栄養士は、栄養ケア計画に基づいて、栄養食事相談を実施する。
④ 管理栄養士は、関連職種と共同して食事摂取状況や食事に関するインシデント・アクシデント事例等の把握を行う。
⑤ 管理栄養士は、栄養ケア提供の主な経過を記録する。記録の内容は、栄養補給(食事の摂取量等)の状況や内容の変更、栄養食事相談の実施内容、課題解決に向けた関連職種のケアの状況等について記録する。なお、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第8条若しくは第 49 条において準用する第8条、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第9条若しくは第 50条において準用する第9条又は健康保険法等の一部を改正する法律附則第 130 条の2第1項の規定によりなおその効力を有するものとされた指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準第 10 条若しくは第 50 条において準用する第 10 条、指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第 135 条若しくは第 169 条において準用する第 135 条又は介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第 13 条若しくは第 54 条において準用する第 13 条に規定するそれぞれのサービスの提供の記録において管理栄養士が栄養ケア提供の経過を記録する場合にあっては、当該記録とは別に栄養ケア提供の経過を記録する必要はないものとする。
カ 実施上の問題点の把握
管理栄養士又は関連職種は、栄養ケア計画の変更が必要となる状況を適宜把握する。栄養ケア計画の変更が必要になる状況が確認された場合には、対応する関連の職種へ報告するとともに計画の変更を行う。
キ モニタリングの実施
① 管理栄養士又は関連職種は、入所(院)者ごとの栄養状態に応じて、定期的に、入所者の生活機能の状況を検討し、栄養状態のモニタリングを行うこと。その際、栄養スクリーニング時に把握した入所(院)者ごとの低栄養状態のリスクのレベルに応じ、それぞれのモニタリング間隔を設定し、入所者ごとの栄養ケア計画に記載すること。その際、低栄養状態の低リスク者はおおむね3か月毎、低栄養状態の高リスク者及び栄養補給法の移行(経管栄養法から経口栄養法への変更等)の必要性がある者の場合には、おおむね2週間毎等適宜行う。ただし、低栄養状態の低リスク者も含め、体重は1か月毎に測定する。
② 管理栄養士又は関連職種は、長期目標の達成度、体重等の栄養状態の改善状況、栄養補給量等をモニタリングし、総合的な評価判定を行うとともに、サービスの質の改善事項を含めた、栄養ケア計画の変更の必要性を判断する。モニタリングの記録は、別紙様式4-1の様式例を参照の上、作成する。
ク 再栄養スクリーニングの実施
介護支援専門員は、管理栄養士と連携して、低栄養状態のリスクにかかわらず、栄養スクリーニングを三か月毎に実施する。
ケ 栄養ケア計画の変更及び退所(院)時の説明等栄養ケア計画の変更が必要な場合には、管理栄養士は、介護支援専門員に、栄養ケア計画の変更を提案し、サービス担当者会議等において計画の変更を行う。また、入所(院)者の退所(院)時には、総合的な評価を行い、その
結果を入所(院)者又は家族に分かりやすく説明するとともに、必要に応じて居宅介護支援専門員や関係機関との連携を図る。
コ 帳票の整理
栄養ケア・マネジメントを実施している場合には、個別の高齢者の栄養状態に着目した栄養管理が行われるため、検食簿、喫食調査結果、入所(院)者の入退所簿及び食料品消費日計等の食事関係書類(食事箋及び献立表を除く。)、入所(院)者年齢構成表及び給与栄養目標量に関する帳票は、作成する必要がないこととする。
この文章だけみるとチンプンカンプンですね^^でも大丈夫です! マーカーの部分を開設していきます。
⑴ 栄養ケア・マネジメントの体制
この項目は施設長が中心となり栄養ケアマネジメントができる体制を施設で整えるようにと書いてあります。
2-ア 栄養スクリーニング:低栄養リスクを把握する。
栄養スクリーニングは入所後1週間以内におこない、低栄養リスクを把握します。
2-イ 栄養アセスメント:解決すべき課題を把握する。
栄養スクリーニングを踏まえ解決すべき課題を把握することを栄養アセスメントといいます。様式に様式に沿って利用者の栄養に関する問題を洗い出し、それをもとに栄養ケア計画書を作成します。
2-ウ 栄養ケア計画書の作成
多職種共同で作成することが必要です。栄養ケア計画書の内容は施設サービス書(ケアプラン)にも反映させなければいけません。
2-エ 入所(院)者及び家族への説明
作成した栄養ケア計画書は本人または家族に説明して同意を得なければなりません。
2-オ 栄養ケアの実施
栄養ケアの主な経過を記録に残さなければなりません。
2-カ 実施上の問題点の把握
栄養ケア計画が変更となる場合は適宜見直しを行わなければなりません。
2-キ モニタリングの実施
栄養状態を適宜モニタリングしなければなりません。モニタリング期間は「低リスク:3か月毎」「高リスク:2週間毎」中リスクは書いてませんが「中リスク:1か月毎」になっています。
モニタリングは様式に沿て記録しなければなりません。
栄養リスクにかかわらず体重は毎月測定しなければなりません。
2-ク 再栄養スクリーニングの実施
栄養状態のリスクにかかわらず3か月に1回行わなければなりません。
結局何をいつすればいいの?
スクリーニング:入所時、3か月ごと
アセスメント:計画書作成の前(アセスメントを元に計画書を作成するので) 入所時、3か月ごと
モニタリング:低栄養リスクによる評価で違いますが3か月ごと(高リスク:2週間、中リスク:1か月)
栄養ケア計画書の作成:入所時、3か月ごと
栄養ケア計画書の見直し変更:計画書の変更が必要となる状況が確認されたとき。
スクリーニング、アセスメント、栄養ケア計画書はセットになっていると考えればわかりやすいと思います。
栄養ケアマネジメントとは?を要約すると、この図のようなサイクルを3か月ごとに回していくことです。
栄養ケア計画書の作成手順をこちらにまとめています。