【看取り介護加算】算定要件とは?看取り介護加算Ⅰと看取り介護加算Ⅱの単位の違いは?配置医師緊急時対応加算の算定要件

【2018年介護報酬改定】看取り介護加算Ⅰと看取り介護加算Ⅱの単位の違いは?  配置医師緊急時対応加算の算定要件とは? 看取り介護加算の目的は?

2006年の介護報酬改定の際に、看取り加算が加えられました。その加算ができた背景には、2040年には死亡者数が約41万人になると、予想されていることが挙げられます。人生の最期までその人らしい暮らしができるようにと、改定の1つとして看取り介護加算が加えられました。

家族や身近な人を介護しながら自宅で看取る段階にある、利用している介護施設で看取る方向にしているという人は多くいるのではないでしょうか。

介護分野における看取りの考えに基づくと、“「看取り加算」とは、医師が医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断した利用者に対して、医師、看護師、介護職員等が共同して、その人らしさを尊重した看取りができるように支援する場合に算定される加算“とされています。(厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索より一部抜粋)

【看取りとは?】看取り介護の定義や意味、考え方、流れなどについて紹介します。《看取り介護加算》

看取り介護加算の算定要件

看取り介護加算(Ⅰ)の算定要件

死亡月に加算する。ただし、退所した日の翌日から死亡日までの間は、算定しない。

(18)ア 指定介護福祉施設サービスにおける看取り介護加算に係る施設基準

  • 常勤の看護師を1名以上配置し、当該指定介護老人福祉施設の看護職員により、又は病院若しくは診療所若しくは指定訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
  • 看取りに関する指針を定め、入所の際に、入所者又はその家族等に当該指針の内容を説明し、同意を得ていること。
  • 医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者による協議の上、当該指定介護老人福祉施設における看取りの実績等を踏まえ、適宜、看取りに関する指針の見直しを行うこと。
  • 看取りに関する職員研修を行っていること。
  • 看取りを行う際に個室または静養室の利用が可能となるよう配慮すること。 

イ 指定施設サービス等介護給付費単位数表の介護福祉施設サービスの厚生労働大臣が定める基準に適合する入所者

  • 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること
  • 医師、看護職員、介護支援専門員その他の職種の者(以下において「医師等」という。)が共同で作成した入所者の介護に係る計画について、医師等のうちその内容に応じた適当な者から説明を受け、当該計画について同意している者(その家族等が説明を受けた上で、同意している者を含む。)であること。
  • 看取りに関する指針に基づき、入所者の状態又は家族の求めに等に応じ随時、医師等の相互の連携の下、介護記録等入所者に関する記録を活用し行われる介護についての説明を受け、同意した上で介護を受けている者(その家族等が説明を受け、同意した上で介護を受けている者を含む。)であること。
  • 入所者に提供する看取り介護の質を常に向上させていくため、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)により、看取り介護」を実施する体制を構築すること。
  • 看取り介護を実施するに当たり、終末期にたどる経過、施設等において看取りに際して行いうる医療行為の選択肢、医師や医療機関との連携体制などについて、入所者等の理解が得られるよう継続的な説明に努めること。また、説明の際には、入所者の理解を助けるため、入所者に関する記録を活用した説明資料を作成し、その写しを提供すること。
  • 入所者又はその家族等の同意を得て、当該入所者の介護に係る計画が作成されていること。

看取り介護加算(Ⅱ)の算定要件

看取り介護加算(Ⅱ)の算定要件は看取り介護(Ⅰ)の要件に加え、以下の要件を満たさなければいけません。

  • 看取り介護加算Ⅱについては、入所者の死亡場所が当該施設内であった場合に限り算定できる。
  • 看取り介護加算Ⅱの算定に当たっては、(配置医師緊急時対応加算の⑤)を準用する。

(配置医師緊急時対応加算の⑤とは『配置医師と施設の緊急時における体制の整備』のことです。その他にも以下の「配置医師緊急時対応加算の要件」を満たす必要があります。)

配置医師緊急時対応加算の算定要件

1、入所者に対する緊急時の注意事項や病状等についての情報共有の方法及び曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法や診察を依頼するタイミングなどについて、配置医師と施設の間で、具体的な取り決めがなされていること。

2、複数名の配置医師を置いていること、若しくは配置医師と協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること。

3、上記の内容要件の1,2について、書面にし、届出を行っていること

4、看護体制加算(Ⅱ)を算定していること。

看取り介護加算の単位数と看取り介護加算1と看取り介護加算2の単位の違い

○ 看取り介護加算について、上記の配置医師緊急時対応加算の算定に係る体制を整備し、さらに施設内で実際に看取った場合、より手厚く評価する。

看取り介護加算(Ⅰ)

死亡日以前4日以上30日以下     144単位/日

死亡日の前日又は前々日       680単位/日

死亡日               1280単位/日

看取り介護加算(Ⅱ) 介護報酬改定2018(新設)

死亡日以前4日以上30日以下    144単位/日

死亡日の前日又は前々日      780単位/日

死亡日             1580単位/日

配置医師緊急時対応加算

○ 複数の医師を配置するなどの体制を整備した特養について、配置医師が施設の求めに応じ、早朝・夜間又は深夜に施設を訪問し、入所者の診療を行った場合を新たに評価する。

配置医師緊急時対応加算

650単位/回(早朝・夜間の場合)(新設)

1300単位/回(深夜の場合)(新設)

看取り介護加算の注意点は?

看取り介護加算は、対象の時期が決まっている

看取り介護は、医学的所見において、回復の見込みがないと、主治医が判断した時から始まります。

そのため、看取り介護の開始と同時に、看取り介護加算が算定できるわけではなく、日数が設けられています。

看取り介護加算が取得できる日数は、死亡日から換算して、「4日以上30日以内」となります。

特に長期看取り期にある入所者には、看取り介護加算を計算するときには注意が必要です。

看取り介護加算は24時間連絡できる体制と看護師の役割が重要

看取り介護加算を算定するには、常勤の看護師が必須で、なおかつ24時間体制で看護師が入所者の対応を行うことができることが重要になります。

「24時間連絡できる体制」とは、施設内で勤務することを要するものではなく、夜間においても施設から連絡でき、必要な場合には施設からの緊急の呼出に応じて出勤する体制をいいます。

具体的には、
イ  管理者を中心として、介護職員及び看護職員による協議の上、夜間における連絡・対応体制(オンコール体制)に関する取り決め(指針やマニュアル等)の整備がなされていること。
ロ  管理者を中心として、介護職員及び看護職員による協議の上、看護職員不在時の介護職員による入所者の観察項目の標準化(どのようなことが観察されれば看護職員に連絡するか)がなされていること。
ハ 施設内研修等を通じ、看護・介護職員に対し、イ及びロの内容が周知されていること。
ニ  施設の看護職員とオンコール対応の看護職員が異なる場合には、電話やFAX等により入所者の状態に関する引継を行うとともに、オンコール体制終了時にも同様の引継を行うこと。

といった体制を整備することを想定しています。

そのため、在宅で看取り介護を行うときには、訪問看護ステーションなどと協力し、24時間訪問看護ができる体制をとることが重要です。

死亡場所の確認

看取り介護加算(Ⅰ)では何かの理由で退所してしまった場合、退所日までは算定可能です。

しかし看取り介護加算(Ⅱ)では死亡場所が看取り介護加算を取得した施設内でなければ算定出来ないことになっています。

その他の注意点

・入所者等への説明
・介護記録等への記録と情報共有
・入所者等へのインフォームドコンセント
・施設退所後の家族への指導や医療機関への情報提供
・個室又は静養室の利用

最後に

施設に入所している回復の見込がない入所者に対して、算定要件を満たした施設が、多職種と連携して看取りをした場合、看取り介護加算を取ることができます。

今後の看取り介護は病院ではなく、在宅や施設で行うことが重要になってきます。

介護報酬改定が行われるにつれ、在宅・施設での看取り介護を推進しているので、柔軟に対応していく必要があると思います。

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